手取り早く稼ぐため、さまざまな個人経営の職を転々としてきたが、自らの生き方を変えるべく2013年、一念発起し不動産会社を設立。高い成長角度で「理想の会社」を目指す。
ウィルのホームページです。かなり以前から自社のホームページ制作の参考にしていたので、社名は知っていました。内容を見るにつれ、何となく「すごそうな会社だ」とは思っていましたが、それが確証に変わったのは、懇意にさせてもらっている他社の社長から、「ウィルは、不動産売買仲介の完成形だ」という話を聞いたときです。あぁやはり、と思いました。ちょうどそのとき、ウィルから不動産会社向けの事業コンサルのDMが届いていたこともあり、まずは話を聞いてみようと連絡しました。当時、当社は創業6年目、ありがたいことに売上は年々倍増しており業績は好調だったのですが、何しろ私自身が不動産未経験で1人から始めた会社。そろそろ外部の意見を取り入れながら、経営の基礎から見直していこうと考え始めた矢先でもありました。実際にウィルに会って話を聞いてみて、もっとも感銘を受けたのは、事業ノウハウやビジネスモデルの形よりも、それらの土台となる「人材」に対する考え方でした。私も経営者として常に社員の幸せを第一に考え、これまでやってきたつもりではいました。ただ、ウィルが何もない創業時から今日まで新卒採用を続け、本気で一人ひとりに向き合い続けてきたことを知るにつれ、自分が本当の意味で「人の大切さ」を理解していなかったことに気づきました。不動産会社の採用セオリーなのかもしれませんが、御多分に漏れず当社も給与や制度など条件面を手厚くし、それをアピールすることで人を採用してきました。もちろん、待遇面を充実させること自体が悪いわけではありません。ただそれだけだと、条件で惹きついた人たちは、条件で離れていく。表面的には業績も好調でうまくいっているように見えても、その中身は自分が求めていた姿からは少しずつ離れていっていたのです。
結論から言うと、目的達成のために楽をしたくなかったからです。ウィルの話を聞いて自分の中では、事業云々の前に、まずは「人」ありき。だから採用から見直していくべきだと結論付いていたのですが、それを行うにあたり手取り早く誰かに頼るのは避けたかったのです。なぜなら、これまで近道を探し続けてきた結果、自分が思い描く理想の組織像からはかけ離れてしまった。理想は決して楽して手に入るものではない。自身がもがき苦しみ乗り越えた先にこそ手に入るものだと再認識したこともあり、最初は提案された「新卒採用コンサル」を断りました。それからしばらくして、営業の瀧口さんと話をする機会があって、そのとき言われたんです。「社長に楽してもらおうなんて思っていませんよ。むしろ逆です」と。ウィルがこれまで苦労して創り上げてきたものはキレイごとでは済まされない、泥臭く、しんどいこと。それをそのまま教えてもらってやろうとしているのだから、楽な訳がない。確かにその通りだ。そして、茨の道を歩く決意とともにコンサルを依頼することにしたのです。
正直、新卒採用ノウハウを教えてもらったという感覚はありません。ウィルという会社や人を通して、人への考え方や向き合い方を学ばせてもらいました。たとえば、学生に対して。これまでは、雇用者の立場からどこか学生を「採用してあげている」という上から目線的なところがありました。でもそうじゃない。採用に至る至らないに関わらず、一人の人間として真摯に向き合うべきだと。真剣に耳を傾け、本気で相手のことを思い、心の言葉で対応する。その学生がうららと出会うことで、少しでも自分の可能性を見つけることができたり、人生を生きる勇気を持てたりできればそれでいい。一見、非効率です。目先の「採用人数の獲得」だけを見ていたら辿り着かない考え方です。ただ、そうやって相手の人生に希望を与えることは、自身の肯定感にも繋がり、結果双方が望む人生へ近づいていくことができる。これは学生に対してだけでなく、社員に対して、また不動産のお客様や関係業者様、そしてプライベートの人間関係にまで通じる真理だと思います。「人を大事にする、本気で向き合う」そんなマニュアルとは対極にある、人として大事なことをウィルと接するたびに感じています。それは採用媒体の制作過程の中でも感じました。私たちに対して本気で向き合い、耳を傾け、まるで代弁者のごとく思いを余すことなく表現する。そこにかける情熱やプロ意識から私たちが刺激を受けたのはもちろん、媒体を手に取る学生にも、その思いはちゃんと響いていました。
やる気に満ちていて、それでいてやさしさを忘れない組織をつくりたいと思っています。不動産業界は、給料や待遇といったいわゆる「アメとムチ」で構成された組織が多い。しかし、人のやる気というのは本来「アメとムチ」ではなく、自分がやりたいと思えることに対して全力で取り組むことで生まれてくるものです。会社は誰のためでもない、自己実現のために使ったらいいんです。社員が自らの成長によって幸せを感じ、その社員がお客様を、学生を、家族を幸せにする。そしてその人たちが、また次に出会う人たちを幸せにしていく、その循環が2巡、3巡し、少しずつ大きくなっていけば不動産業界のみならず、多くの人に勇気と幸せを与えることができるはず。周囲の同業者からは青臭いとか理想論だとか言われることもあります。しかし、私は本気で理想の会社をつくろうと思っています。会社の規模もさらに拡大させていくつもりです。そのためには何より社員が幸せでなければ、実現しない。できない理由なんてあげればキリがない。何よりも大事なのは自分たちがどうありたいか。私はどうせ生きるなら、本心を誤魔化したり変な妥協をしたりせず、真っ直ぐ正直に生き抜きたい。理想の会社、つくります。
(上記記事は2022年3月に取材させていただいた内容になります。)